リビングの記事を書いていたのですが、「リビングの広さ」よりも重要なのは結局のところ生活空間の使い勝手だと思います。
生活しやすいリビングに欠かせないのは「生活家電」との共存に他なりません。これまでは「コンセントはあるだけいい」が生活家電界の定言でしたが、今は違います。

掃除機はバッテリー式になったし、バッテリー自体が入れ替えできるなら充電する場所も問わないわけで。これからの家づくりを考えると、コンセントの数や場所よりも大事なことがあるかも。
家電系ブロガーとしてそれほどの知名度がない私が、家づくりの体験も踏まえて「最適なリビングのコンセント数」について解説していきます。
リビングのコンセント設置に正解はないという話

まず、リビングのコンセントについては、どれだけ丁寧に生活動線をシミュレートしても答えは出ません。なぜなら、生活動線は変化する上に、家電側も進化しているので、固定設置されるコンセントに全ての対応をさせようというのが、そもそも無理な話なのです。

極論で言えば、「至る所にコンセントがあること」は、確かにリスクヘッジのひとつとなります。ただ、無駄なコンセントはコストを増やすし見栄えも悪いし、やはり適切な数のコンセントを考えていく必要はあります。
コンセントの数は死活問題
コンセントの数に正解はありません。あればあるほどいいっちゃいいのですが、コンセントばっかりあっても仕方がないですし、延長コードなどをどこまで許容できるか、などの問題もあります。
私も面倒になって「普通に必要とされる数」を依頼しただけですが、やっぱり「あーもう少し欲しかったな」と思うことは多いですし、これは言い始めたらキリがないと最近は開き直っています。

そりゃ、家族も増えれば使用する人間と家電も増えるわけで。2口コンセントをいくらつけてもキリがないんだよね。
必要なコンセントの計算方法
では、簡単にコンセントの数の「正解」がわかる方法ってないのかな、とか考えるわけです。本当は、将来使用する家電と、生活動線をひたすらシミュレートして導き出すものなのですが、これが面倒だし、どうしても抜けがでる。
今回はリビングに限ったものなので、後半に「リビングで利用する家電例」を参考にしてもらいながら、自分の家ではこれを使う、これは使わない、とチェックしていただければいいのかな、と思います。
キッチンの簡単な目安
キッチンは固定で使用するコンセントがあるので、間取り図の段階でかなり煮詰めておく必要があります。調理スペースに自由に使える2口コンセントがあると便利ですね。
食洗機やクッキングヒーターは、システムキッチンの設置時に別経路で電源が用意されるので考慮する必要はありませんが、ブレーカー・分電盤のこともあるので一応は把握しておきましょう。
ダイニング部分
ダイニングに関しては、食事の機能面で利用する空間になるので、人の移動があることを想定します。電話機や電気ポットに関してはどこに置くかでキッチンやリビングに配置することになるものもあります。この辺りは自分の生活で使いやすい場所を想定しておくといいと思います。
ダイニングテーブル付近にスマートスピーカーやスマートホームのハブ機なんかをおいてもいいかもしれませんね。
ダイニングテーブルは基本的にはくつろぐ場所ではないので、流動的に使用する家電に対処する場所、と考えてコンセントを設置したいところです。

リビング部分
リビングは人が定住するところなので、目的によって臨機応変にコンセントを使用できるように「空き」を作っておくことが重要。テレビ台については、もうマルチタップ・延長コードは使うものだとして全てコンセント口から給電しようとしない方がいい。キリがない。
リビングに関しては、座ったら離れられないソファから両端に自由に使えるコンセントがあってもいいくらいです。
コンセントじゃなくてUSB給電?
最近はコンセントよりもUSB給電の小型家電も増えてきています。需要として「埋込型USBコンセント」も増えてきているので、一応、検討はしておいてください。AC電源が主流ではありますが、直挿しできるとスッキリします。
将来的に蓄電池が補助電源になるかも
将来蓄電池が普及したときに「家庭にひとつ大型蓄電池」をおくことになるのか、汎用性の高い小型蓄電池を各部屋の電源を担当するようになるかは微妙なところだと踏んでいます。
蓄電池、なんやかんや高い買い物だから、各部屋のバッテリー電源として各部屋にあって、どこかがショートしたときに家庭内の別の場所から給電できるシステムの方が安定しそうな気はするんですよね。どうなるかは知らんですけど。
とにかく「10年後も同じ電気事情」である可能性はそんなに高くない、ということだけは知っておいてもらいたい。
コンセントの場所に関する考察
コンセントを利用する場所について提言したいことはいくつかあります。
- 人が集まる・居座る場所にはコンセントがいる
- 人が通り抜けるところにはコンセントはいらない
- 作業目的がある場所にコンセントがいる
- コンセント不毛地帯にはポータブル充電器で対応する
この辺り、リビングとダイニング、キッチンの役割にも関する記事がありますので、こちらも参考にしてみてください。

人が集まるところには相応にコンセントがいる
まずは生活動線で言えば、人が止まるポイントにはコンセントが必要です。先に例示しておきます。
- ソファ
- テーブルセット
- 作業机
これは「ごろごろ」すると、人は本当に動きたくなくなります。少しでも動かなくてもいいように、近くに都合よく生息している旦那などの遠隔操作可能な媒体を使って物などをとったりするようになります。これはいけない。
人がくつろぐところには、人が使うためのコンセントが必要です。基本的には「空いている」状態をデフォルトとして、マッサージ機やスマホの充電など「いろいろなものに対応できる」ようにしておくことが望ましいです。
逆に、ここが家電の専用口となっている場合は、多めに個数を用意しておく必要があります。
モノが留まるところにもコンセントがいる
ここは少し盲点になるのですが、人の生活動線では頻繁に行き交うわけではないのですが、「モノが定住」するところにもコンセントが必要です。
- 収納の中
- 棚の中
- 水洗の近く
- クローゼットの中
- 納戸の中
- テレビ台
- ニッチ
あまり人が目にしないところは、埃が溜まりやすく火事の原因にもなるのでお勧めはしませんが、モノが留まるところは、WiFiなどの無線機などが定住したり、スマホ用のモバイルバッテリーやデジカメなどの小物家電の充電スペースとして有効です。
水洗に関しても、ドライヤーなど使うことは想定しますが、髭剃り・電動歯ブラシなどを利用したり、将来的には水洗周りのお掃除グッズなんかの給電にも使うことになるかもしれません。
ニッチなどは、小型のアロマディヒューザーなどを設置して家電を稼働させてもいいですし、少し目線から避けて「スマートリモコン」などの端末をおいてもいいですね。
作業・家事の目的があるところに必要
これは当たり前の話なので大きな声ではしませんが、やっぱり家事や作業、あるいは勉強など「何かをする場所」には、相応にコンセントが必要になります。
- キッチンテーブル
- ダイニングキッチン
- 勉強机
- ワークスペース
これは目的があるので、用途がはっきりしやすく事前に必要個数も想像しやすいコンセントになります。逆に言えば、ほぼ専用としてコンセントを埋める可能性があるので、コンセントの差込口個数には余裕が欲しいところです。
たとえば、PCなどを使ってリモートワークをするシチュエーションで利用すると、PCから給電するものでも別途電源を準備して安定して作業できるようにしたいところ。PC充電用の差し込み口以外にも、照明やカメラなどにコンセントを使用することを想定しておきたいところです。

一次的な使用であればマルチタップを用意すればいいとは思いますけどね。
逆に、不要になるのは「通り道」
かつては「延長コードが届かないところにコンセントがあった方がいい」ということで、廊下や階段にコンセントをつけたりしましたが、今は家電側が小型化してバッテリーを持ち、「ポータビリティ」に恵まれています。簡単に言えば、コンセントをぶっ刺して移動しながら使う家電はどんどん減っています。
どうしても必要なら小型バッテリーを使う
最近は、AC電源も使用できるモバイルバッテリーもあるくらいで、キャンプや避難生活でも使用できるような小型のポータブルバッテリーの品揃えが良くなっています。
個人的にはあくまでも避難生活を想定した準備ではあるんだけど、使わないと勿体無いので、移動用の電源として家の中でも活用してもいいな、と思っています。

あくまでも代替的な対応になりますが、「最悪、こういうものもあるから、想定しきれないコンセントの用途に便宜的に増設するのはやめよう」という方向に結論づけたい時にお勧めです。
リビング家電とコンセントの考察

では、ここからはさらに詳しく「リビングに必要なコンセント」について考えていきたいと思います。LDKを想定しているので、リビング・ダイニング・キッチン全ての家電を順番に考えていきます。
リビングに固定する家電
固定する家電は消費する電力も大きく、専用にコンセントを準備することになります。図面の段階でコンセントが埋まることが想定されているので、使用する家電の数をピックアップした上で「専用コンセント」を用意するのか、使用時に抜き差しして対応できるかを考えていきます。
専用にコンセントを用意したい家電
冷蔵庫、オーブンレンジ、食洗機、ウォーターサーバーなどは専用コンセントがあってもいいと思います。アース線を配備するものは基本的に専用、くらいに考えておくといいと思います。

そうなると、4口くらいは専用コンセントとして潰れることになるから、あとは使い勝手のいい位置に2口コンセントがあった方がいいですね。

調理台あたりには必ずひとつはあった方がいい。けど、漏電には要注意。
調理家電を専用とするかどうか
あとは、炊飯器とかをおくところには1つは空いているコンセントがあった方が、時間をかけて調理する「ホームベーカリー」「電気調理鍋」や「ヨーグルトメーカー(発酵や燻製機)などを使用することも考えられます。
欲を言えば、このキッチン周りの電気回線は別にしたほうがブレーカーの都合がいいのですが、この辺りの話はまた別の機会に。
キッチン家電一覧
- 冷蔵庫(固定)
- 電子オーブンレンジ(固定)
- 炊飯器(固定)
- 食器洗浄乾燥機(固定)
- トースター
- ホームベーカリー
- 電気ケトル・ポッド
- ウォーターサーバー
- ジューサー・ミキサー・フードプロセッサー
- コーヒーメーカー
- 電気圧力・調理鍋
キッチン周りは安定して電気を取られる家電が多いので、それぞれ個別に準備して、抜き差しで対応できるもの用のスペースも確保しておくことがお勧め。電気調理鍋系は(使う人は使うが)使わないくせに置きっぱなしになるので、この辺りのスペースをどう取るか。
キッチンにおきたくなる家電
必須ではありませんが、検討はしておきたい家電もあげておきます。
- スマートスピーカー
- タブレット・スマホ充電器
- ポータブルラジオ・テレビ
- 蚊取り線香
- ヒーター関連
- 除湿機
ダイニングで必要になる調理家電
ダイニングテーブルで使用することになるであろう家電をピックアップしておきます。
- ホットプレート
- たこ焼き機
- 電気鍋
- 卓上IHクッキングヒーター
これは「ダイニングテーブル」など、食事で利用するものに付随して必ずコンセントが必要になるよ、ということ。だからたくさん口数が必要なわけではない。ただ、使用する際には消費電力が大きくなるので、埃が溜まりづらく、タコ足配線になることだけは避けた方がいい。
リビングのテレビ周りを攻略する
テレビ周りは、コンセントを無尽蔵に使うことになります。ここは大人しくマルチ電源タップを用意した方がいいです。
テレビ台周辺家電・AV機器
- テレビ
- チューナー
- レコーダー
- HDD(必要分コンセントとられる)
- ゲーム機
- オーディオ機器
- スマートスピーカー
気が付きにくいのが、HDDなどの外部メモリ系の電源。あれ、全部個別に電源必要なんですよね。バスパワーだと録画が安定しなくなるので。
コンセントの口数を増やしてもどうせ対応しきれないので、延長ケーブルでまとめて管理できるものを固定して入れておくコンセントと、ひとつは余分に開けておくことを想定する。
NASなどで大容量HDDを繋ぐなら電源を切らさないように専用コンセントの方がいい。テレビについては専用コンセントがあってもいいが、将来的にまだテレビを見るのかどうかはよくわからない。

厄介なのが「ゲーム機」関連で、こちらは使用する際に電源抜き差ししてもいいと思うのですが、テレビ台裏にコンセント口を用意すると、これがすごく面倒になります。マルチタップで対応するにしても、もうとんでもなく長いマルチタップを購入することになるので、この辺りの配線の隠し方は事前に検討しておいた方がいいと思います。
リビングに置くことになる小物家電
リビングは生活動線が密に交差するポイントになります。人が使う家電はここに集結すると思って間違いない。
リビングで使用する家電例
- 携帯電話・スマホ充電器
- パソコン周辺機器(ワークスペースを兼ねる場合)
- デジカメ充電器
- タブレット、タブレットペンの充電器
- 電話機、FAX
- Wi-Fiルーター
- ハンディクリーナー
- スタンド照明
この辺りはコンセントの場所だけ配慮しておく。
マルチタップは使用することになるが、USBで直接給電できるタイプの方がスッキリはする。
ただ、将来的に急速充電する場合には、ACコンセントから給電利用することになり、既存のUSB給電口がむしろ邪魔になるかも。
さらに、非接触式の充電機器なんぞも将来的には席巻してくる可能性はあるので、普通のコンセント形状が一番無難だったりする。
リビングで使用したい季節家電
リビングは生活空間になるので、季節ものの家電も集まってきます。空気清浄機は常設されますが、除湿機などは必要に応じて使う部屋に移動させてもいいかもしれません。


リビングで使用する季節家電リスト
- 扇風機・サーキュレーター
- 電気(ホット)カーペット
- こたつ
- 空気清浄機
- 除湿機・加湿器
季節家電に関しては、置くスペースをしっかりとキープしつつ、季節に合わせて入れ替えるイメージ。空気清浄機は年中出しっぱなしにはなるので、使い勝手的には特別スペースを準備。空気清浄機やサーキュレーターは使う位置を考えて換気効率を高める必要もある。
リラックス・エクササイズグッズ
- フットウォーマー
- マッサージャー
- アロマディヒューザー
- エアロバイク
ソファ周りのコンセントも必須だが、ソファ周りはコンセントとしての使い勝手も考えておく。ゴミが溜まりやすい。
パントリー・クローゼットの収納内部
収納内部にもコンセントがあった方がいい、というのはどこかに書きましたが、見せたくない家電や、バッテリー系の充電などにまとめてスペースを割いておくとスッキリします。
収納にあるコンセントで利用したい家電
- 掃除機
- ハンディクリーナー
- WiFiルータ
- プリンター
収納の中にコンセントがあると、見せたくない家電の給電に便利。
使用頻度が高いものは隠さずに出したほうがいい
個人的には、ハンディクリーナーは見た目もおしゃれな物が出てきているのと、隠すと取り出すのが面倒になるのでぱっと手に取れる位置にあると子供がお菓子ぶちまけた時なんかに怒らずに済む。子供が自分で掃除するし。
コンセントの反省点と盲点
まず、基本的にコンセントに関しては「成功」することの方が難しい。
なぜなら、必要な家電は増えていくし、どんな家電が必要になるかまでは予測できないから。さらに、充電池が改良されることで、今後は「使う場所にコンセント」という概念もなくなるのかもしれない。
ここに要らなかったコンセントは注目されない
不満点としては「ここにコンセントがあったらいいのに」は気付きやすいんだけど、「ここは要らなかったな」の意見って、あんまり出てこないんですよね。
コンセントと固定資産税
いや、あればあるほどいいんだけど、実際、コンセントがたくさんあると漏電の危険性や固定資産税の計算で不利になる、なんて話もありますし。
固定資産税の増額よりも、コンセント増設の方が高くつくケースもあるので一概に言えることではありませんが、家を建てた後に「あーすれば良かった」というのはそれなりにストレスを感じるもの。
増やしすぎは禁物だけど、いると思ったところにはつけておくことが無難ですね。
家電側がコンセントに縛られなくなってきている
ただ、前述の通り、家電も進化していて、今ではコンセント位置に左右されて掃除ができない、なんてことも無くなりました。階段・廊下にコンセントがあると掃除の時に便利、なんてことはもうないですしね。

むしろ、ルンバの充電スタンドが階段下に欲しい、なんてことにもなっています。ただ、ルンバも将来どんな形になるかわかりませんからね。

将来必要になるコンセントも認知できない
一方で、廊下のコンセント、将来的にはフットライトとして使用することもあるし、メッシュWiFiなどで家を超高速無線張り巡らせる時なんかには使用する。

電動カーテンなんかもあるから、現時点での正解は将来の不正解になる可能性は十分あるということですね。
家電は隠すものから見せるものに変わるかも
あと「家電を見せたくない」についても、外において置けるくらいに家電はかっこ良くなっていますし、この辺りの価値観も案外崩れていくような気はするんですよね。
Blueairの最上位機種「Protect」とかは、空気清浄機ではあるけどもうインテリアの領域に入っているし、バルミューダ系のキッチン家電だってどちらかと言えば見せたいデザインだと思います。

コンセントの数に悩んだら役に立つ情報
コンセントの数に悩んだ際に参考になったり、ならなかったりする当サイトの関連記事リストになります。
コンセントに悩んだ時に読みたい記事
コンセントの数や位置に関しての情報をまとめた記事はこちらになります。
- リビングに必要なコンセント数を丁寧に解説する
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