エネファーム、ややこしいですよね。

省エネ系は安易なネーミングが多くて、エネ〇〇に混乱している方も多くいらっしゃるかと思います。というか、いまだに人に聞かないとわかりません。
エネファームは、ガス会社がこぞってお勧めする「省エネ」製品です。
具体的な説明は後回しにしますが、大事なことがひとつだけあるので、それだけお持ち帰りください。

「エネファームで金銭的にメリットを生み出すことは難しい」
これだけ覚えておいてもらえれば、家づくりの際にエネファームを導入するかしないかを考えた際に、大きな失敗はしないはずです。
記事が古くなりましたので、このページでは「エネファームのメリット・デメリット」についてまとめることにしました。
エネファームタイプSの情報が知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

最新のエネファーム情報をまとめたページを別途用意しました。2023年以降に充実させていく予定です。

ただ、2022年ごろから全てのものが値上がりして、電気代の高騰も歯止めがかからない状態です。
ガス発電においても結局のところガス代に依存するため絶対にお得とは言い難いですが、電気だけに依存しないほうが対策の幅は広がるため、太陽光導入に合わせてエネファームのW発電が効果的になってきた時代になってきてしまった、というのは2023/02/26時点での感想です。
エネファームは太陽光よりメリット少ない
と、我が家を建ててくれた営業担当が言ってました。

私の知り合いも、「太陽光とかエネファームとかって、お得なのかどうかわかんないよね」って悩んでましたね。
確かに疑問が多いこのあたりの問題を少しばかり深く掘り下げていこうと思います。
太陽光はほとんどの住宅会社が積極的に取り組んでいる
太陽光発電はハウスメーカーによっては力を入れているところもあり、ハウスメーカー選定にも大きく関わってきます。

でも、一方のエネファームって、あんまり住宅会社がお勧めしている印象はないよね。
エネファームをつけるかどうかでハウスメーカーを決める方はほとんどいないかと思いますが、つけるつもりであれば、どこにつけるのかなど間取りも考慮せねばなりませぬので、はやい段階でつけるかどうかは考えなければいけません。
太陽光発電をお勧めする理由
太陽光発電の方が住宅会社としてもメリットが大きかったりします。
エネファームは、ガス併用住宅にしか対応できませんからね。太陽光発電の方が扱いやすいというのが実情です。

ちなみに、ZEHについても、エネファーム単体でZEH基準を満たすのは至難の技となるのに対して、今でも創エネの基本は「太陽光」です。

では、エネファームってどうなのでしょうか
エネファーム導入前に知っておきたいこと
エネファーム導入前に必ず知っておきたいことは、「お湯と発電の関係」です。
自分の家がどれくらい給湯を必要とするかで、エネファームが必要かどうか判断できます。
給湯の時しか発電しない
エネファームは、給湯の際に発電します。いや、発電の際の熱を利用して給湯している、というのが正しいのか。
エネファームが発電する方法
難しい説明は抜きにして、簡単に説明します。
- ガスの中には水素があります。
- これを利用して電気を作ります。
- 電気をつくるときの熱を利用してお湯を沸かします。
- 電気をつくって、お湯を沸かすことができました!
ちなみに、その分、ガスも使用されています。
たくさんお湯を使うならギリギリ得する場合も
つまり、電気をつくろうとすると熱も発生するからどうせだからお湯沸かしちゃおうぜ、っていうのがエネファームなのです。

なので、電気をつくろうとすればするほど、お湯が沸きます。無駄なお湯を沸かす必要はないので、十分なお湯があれば電気はつくられません。
給湯をあまり必要としないような人数の少ないご家庭には不向きです。

むしろ、エネファームを利用しようとすることで、エネルギー効率が悪くなった、なんて計算も出ているみたいです。
みんながみんな得をするわけではないので、利用者を選ぶ、とも言えますね。設置者を選ぶ高飛車なエネファームさまさま。
エネファームを4人家族で利用した場合の料金シミュレーション
ちなみに、試算になりますが。一般的な4人家族のご家庭では、ガス代がプラス6000円程度、一方、電気代はマイナス70,000円に。
また、こちらのエネファーム使用時のシミュレーションがわかりやすいですね。
ということらしいですが、ソースはどちらもガス会社発表のもの。実際のところはどうなのでしょうか。
一般的な家庭って何よ?
まず、比較対象となっている一般的なご家庭は少し電気代などが割高な気がします。

大体、最近の家電は省エネ製品を取り入れてますし、エコジョーズなど給湯時より高効率な給湯機も出ています。
そのあたりと比較した場合の利率はどうなるのでしょうか。
エネファームと他のエネルギー系商品を比較する
エネファームの検討を始める場合、「エネファームだけ」にするかW発電と称してハイブリッドに太陽光発電などを組み合わせるのか、という点についても考える必要があります。
他の再生可能エネルギーとの相性は
京都議定書の目標となっていた2020年が終わり、2021年からは2030年のパリ協定で掲げられた「脱炭素社会」に向かって本格的に動き出すことになります。新しいエネルギーについては別記事でも紹介しています。

また、家づくりに関してのエネルギーの考え方についてもまとめてみました。

再生可能エネルギーという言葉の認知度は高まりましたが、「実際、何なの?」と聞かれて答えられる人は少ない。最低限、家づくりに関するエネルギーの話だけは知っておくと「未来で損することはない」ということで、簡単に情報をまとめておきました。
家庭用燃料電池
家庭用燃料電池としてエネファームの利用が進んでいますが、水素を使った家庭での発電には注目したいところです。
エネファームも「燃料電池」です。燃料電池の今後の展望や水素エネルギーについてもまとめた記事があるので、退屈で死にそうな時に追い討ちをかけるつもりでどうぞ。

地熱発電
地熱発電に関する情報はこちらにまとめました。エネファームとはあまり関係ありませんが、地熱発電は自治体で取り組み、電気を住民でシェアできる、かつ観光資源として活用する、なんて未来がありそうな感じがします。
エネファームに関しては、コジェネを地域で共有するという街づくりが可能ですけど、それはまた別のお話。

地中熱利用
地中熱と地熱がややこしいですが、地面の中は温度変化が少なく、地上との温度差を利用して冷暖房や給湯などの省エネに貢献することができます。
地中熱を家づくりに役立てる情報についてはこちらにまとめてあります。

小型風力発電
自宅に風力発電は実現可能性は低いですが、我々新潟県民は「冬場の日射量は期待できない」ため、太陽光発電と太陽熱利用が難しい地域と言えます。少しでも発電の助けにならないかと、風力発電についても調べてみました。
W発電の相方として考えられそうな感じもしますが、風力発電システムの家庭配置は敷居が高そう。

太陽光発電
太陽光は年中安定して利用できるエネルギーではなく地域格差が生じるので「冬も晴れ間が広まる地域が羨ましい」と指を加えてみているだけですが、そんな太陽光発電に関する情報も別記事にあります。

太陽熱利用
太陽光を期待できる地域の場合、太陽光発電だけではなく、太陽熱を利用することも可能です。太陽熱利用は昔から存在する技術ですが、太陽光発電との相性も考えてハイブリッドに活用する方法についても開発が進められています。

エネファーム類似商品を区別する

どうでもいい話ですが、エネファームとエコジョーズって似てるじゃないですか。

さらにエコキュートも入ってくるとややこしいですよね。
エコジョーズはガスの給湯
エコジョーズはガスの給湯システムになります。
お湯を沸かすときの熱を無駄にしないようにすることで省エネしよう、というものになります。
エコキュートは電気の給湯
エコキュートは、エコな給湯システムでエコキュート。
大気の熱をうまく利用することで、熱を効率よく移動させたり、圧縮して高熱にしたりして省エネするものです。
エネファームはガスによる発電
エネファームはガスによる発電機だと考えてもらっていいと思います。
つまり、エネファームとエコジョーズは畑が違うわけです。

これ知ってると打ち合わせの時に話が早いですよ。
エネファーム購入の分岐点となる情報
知りたいことは「家づくりやリフォームで、結局、エネファームは便利なのか、損はしないのか」ということだと思います。つまり、メリットやデメリットの話をしていきます。
エネファームで得する方法
とはいえ、エネファームで得する方法は必ずあるはずです。そのためにチェックすべきことなどまとめました。
購入費用を安くする
エネファームでもとはとれるのでしょうか。

20年後というのはちょうどエネファーム本体の寿命ですね。

保証の効く10年間で償却するには、本体導入費を60万円に設定しないといけないね。
給湯器を購入する必要はなくなる
エネファームを検討されている方は、おそらく「給湯器の買い替え」か「新築」、あるいは戸建てを選ぶ際の参考などとして考えられているかと思います。

読者さまより、「給湯器の買い替えが不要になるよ!」という情報提供をいただきました!
新規にエネファームを購入する場合、ガス給湯器は不要となります。最近は後付エネファームSで、今ある給湯器とつなげて使用するタイプもあります。選択肢は様々ですので、一度、ガス会社などに問い合わせてみると、どれくらいの価格差になるのかはっきりしそうです。
維持費を検討する
通りがかりのブログなんかを見ると、「電気代は安くなった」と聞きますが、修理関連の話題はあまり聞きません。

ただ、設置上問題があったのか、漏水や電気代が高くなった、なんてコメントも散見されましたね。
先述の通り、エネファームは20年もてば御の字という製品です。故障がなくても、電池の方が持たないはずです。また、電気効率は年々低下することが予測されるため、ベストパフォーマンスを維持するのは難しいでしょう。
補助金を利用する
2020年の以降の最新のエネファーム製品については、また別記事になりますが、製品自体の値段が下がってきてくれており、自治体によっては補助金上乗せもあるので自分の住んでいるところの情報は嗅ぎ回った方がいいです。

エネファームのデメリット
エネファームのデメリットをまとめてみました。
騒音問題
低周波騒音の原因になる可能性があり、近隣への配慮が不可欠とのことです。

設置場所は、平らで安定した土地であることにくわえて、近隣住宅との距離や振動の伝わり方など配慮しないと、思わぬトラブルに発展する可能性もありますね。
イニシャルコスト高し
導入に100万円以上かかります。

加えて、オーバーホール(修理)なんぞしたら結構な修理代がかかるそうです。

仮に導入費を少し抑えられたとして、自分の持ち物になったら自分で修理せねばなりませんから。
メンテナンスコストも高い
こちらのブログなんかは参考になりそうです。
記事内では漏水メンテナンスを行ったとのことなので、エネファーム本体の問題ではないようですが。
10年間は修理無料、なんて情報もあります。エネファーム自体の寿命は20年程度みたいです。(8年とするところもあるようですが)

うちの営業さんは、60万円くらいまで安くなってようやく検討できるもの、といっていました。ガス会社と懇意なHMでは説明も変わってくるのでしょうが。
新築時に安くなるという甘い話
ちなみに、冒頭部の知り合いの方は、HMから40万程度で導入できると勧められているそうです。

たぶん、40万で設置したらどこかで割の合わない話になっているはずですが、どこが負担しているにせよ、最終的に帳尻を合わせられてしわ寄せは消費者に来るようになっているはずです。

本来値引きされるべき金額がそちらに充当されているかもしれないですしね。

「そこ安くするなら、別のところを安くしてくれよ」と言いたくなるところですが、まぁ聞いてはもらえないよね。
知り合いの方は話を聞いているところ、予算はあるみたいなのでたぶんどこかの大手の話なんだけど、大手はW発電なる、太陽光とエネファームの発電で売電するのがいいみたいな話をするみたいです。

というか、もはや使えるお金は根こそぎ使わせようとしているようにしか見えないのだが。

ちなみに、エネファームは売電に使えないらしく、さらにW発電では売電価格も下がってしまうのだとか。
もちろん、エネファームでつくられた電気を自宅用に使うことで、太陽光の売電量を増やすことができる、という理論な訳なのです。
導入費用は減少傾向
流石に底値にどこかで行き着くかとは思いますが、東京ガスのエネファームの初期費用は、2011年に267万円、2013年に190万円、2015年に167万円と年々減少傾向にあるとのこと。
こちらのサイトは参考になります。
https://tokyo-chumon.com/save_energy_housing/zeh/6054
2021年は100万円から
2021年のエネファームは、燃料電池の利用拡大に向けたエネファーム等導入支援事業費補助金がなくなったことが大きく影響しそうです。
新築・リフォームのタイミングと合えばZEH関連から補助金を引っ張ってくることもできそうですが、エネファーム単体での設置は少し向かい風の傾向かもしれません。
2021年のエネファーム価格目安値
パナソニック | 90万円〜110万円程度 |
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京セラ | 100万円〜130万円程度 |
アイシン精機 | 190万円〜240万円程度 |
補助金がなくなった分の値下げがあるかもしれませんが、元々が高い製品なので、高止まりするような気がします。
本体価格なので、別途工事費(30万円〜80万円程度)が必要になると考えてください。
【2021年度 エネファーム導入補助金に係る全国自治体調査】
2020年は200万円
今、私がざっくり調べたところだと、だいたい200万円くらいでエネファームが設置できます。ただ、ここから工事費が入ったり、補助金が出たりと前後する幅は大きいようです。
結局どうしたらいいかといえばエネファームはスルーが堅実
悲観的なポイントが多くなってしまいましたが、これから先のことを考えると、自分たちで発電する方法があることはいいことです。
売電収入は以前ほど期待できなくなったけれども、電気代が何かの拍子に高騰する可能性はあるので、(同時に、ガスが高騰する可能性も十分にあるのだが)電気を自炊できるポテンシャルを有することは心強いことです。
エネファームを推奨できるタイミング
ぶちくま家では、暖房にガスによる温水ルームヒーターを導入しているので、ガスに対する依存度は高いです。
正直、エネファーム導入も本気で考えましたが、まだ時期尚早かなという印象を受けました。
ガス会社としては、住宅の暖房機能に対しても発電量向上するように改良してもらえれば、「ガス暖房+省エネ給湯+自家発電」で、トータルメリットが大きくなると思うのですが。

でも、イニシャルコストがこれ以上増えるのは歓迎できないね
企業努力により、だいぶ本体価格が下がっているようですが、率直な感想としては、「ローンを組んでまで取り入れる設備ではない」というところです。
導入するに値する条件
の条件がそろったときに、エネファーム導入はようやく検討の土台に上がれそうです。
10数年後に、エコジョーズが壊れた時に、エネファームが安くなったり、エネファームに代わるものが現れていることを期待しています。
ZEHとの相性は
ZEHで大事なことは、エネルギー消費を抑えるよりも、どのようにエネルギーをつくるか、と言うところにあると思います。

エネファームでは、家の電気の半分に満たない程度の発電力なので、これ一つではZEHは成り立ちません。
売電もできないので、あくまでも太陽光発電などの補助的な使い方となりそうです。
コメント
エネファームのコストの中に、給湯器として使える分が計算に入っていないと思います。
エネファーム無しでガス給湯を使う場合、給湯器を購入することになります。10年間保証付きの給湯器の購入価格をイニシャルコストから引くべきでしょう。
三浦様、コメントとご指摘ありがとうございます。
エネファームの機能として給湯器を賄っているから相殺できるということですね。初期費用の考え方に補足として追記させていただきます。
ガス給湯を選ぶか、あるいはオール電化なのかは読者さまの環境によるところがあるので、様々なパターンを検討することになると思います。
読者様が家づくりに失敗する可能性が減るよう、なるべく、考え方に多様性をつけられるように調べていきたいと思います。
初めまして
今のエネファームはお湯の使用量とか関係なく常時発電ですね。常時700Wの発電です。厳密にはガス漏れ誤検知防止のため、1カ月連続運転になる前に24時間停止するみたいですが。ほぼ常時ですね。
私は自分の料理のスタイルからオール電化はありえないし、冬のガスファンヒーターは幸せそのものなので、ガスありきの前提でしか考えてないので偏りはあると思いますが、メリット大きいです。
てことで、今の家を買って10年近いですが、後付けで発注しました。
大阪ガスの場合、エネファームの導入でそもそものガスの単価が3割安くなるプランが選択できますので、普通のガスの使用についてもメリットありです。
あと、自治体にも依るみたいですが、国の補助金だけでなく地方自治体の補助金も受けられます。
私の住む市では5万円もらえます。
別に私は利害関係者じゃないので構わないのですが、せめていつ時点の情報かを明記しておいてはとうか?と感じました。
コメントのせいだと思いますが、更新日が最近になってるので誤解を与えやすいと思います。
げんき。さま。コメントありがとうございます。
まず、情報の更新日時の記載についてのご意見、ありがとうございます。情報を仕入れた時の日付など、なるべくは入れるようにしているのですが、まだまだわかりづらいですね。
また、「エネファーム、使ってみていいですよ」という情報も他の訪問者さまの知りたい情報だと思いますので、コメントしていただけて参考になる方も多いと思います。
補助金に関しては、他の記事で書いてはみたものの、各自治体の利用条件や実施日などの更新を間違えると却って読者が混乱すると思い、初期に書いたこの記事には載せていません。もう少し深い情報が知りたくなったときに、知りたい情報を検索する方が誤解がないかと思いました。
私も温水ルームヒーターがガス由来の熱源で、快適に過ごしており、基本的には「ガス依存」の人間です。それ故に、もう少しお金が貯まったら、蓄電池価格が安くなったら、など考えてエネファーム情報を追っています。
至らぬところも多かったと思いますが、お読みいただきありがとうございました。
エネファーム使って10年になります。
10年までは、毎年の点検代は、無料ですが、10年以降は、年数万円の点検代が毎年かかりそうです。
なので、10年になった時に、買い替えを勧められていますが、やめて通常の給湯器にするか、話しあっています。
今後の事を考えた場合、私としては、エネファームにしたくありません。
ぽよさま、コメントありがとうございます。
10年以降の点検代は必要経費ではありますが少しコスパが悪いと思ってしまいますね。ガスを利用したエネルギー効率を向上させる手段としてはエネファームは優秀ではあるのですが、実用のことを考えるとメリットが乏しいなと思ってしまいます。
実際に利用している方の声は大変貴重です。他の方の参考にもなると思いますので、貴重なご意見ありがとうございました。