このページでは、ヒノキヤグループの断熱材部門「日本アクア」が誇る主力商品であるアクアフォームについて調べた情報をまとめていきます。

2023年以降は断熱性能に関しては淡々とこちらのページで加筆修正しています。最新情報が欲しい場合はこちらも合わせてご確認ください。

アクアフォームの特徴
まずは、アクアフォームについて簡単に説明していきます。
形状に合わせて自己接着力で密着する
グラスウールをはじめとする繊維系断熱材は、結露すると水を吸った分、重たくなります。これが、致命的。

スポンジ状(繊維なので布の方が正しいか)の構造なので、水分が溜まってしまうんですね。そうなると、繊維系断熱材は重たくなってだらんと垂れ下がってしまいます。
ここでは詳細な説明はしませんが、断熱と気密は表裏一体、断熱材がずれ込むと断熱効果はかなり下がってしまいます。

これに対して、アクアフォームは形状に合わせて発砲し、ぴったりと密着しているので施工しやすく、かつ長期間気密性を保持してくれる、と日本アクアは宣伝しています。
青い汁が出てくるらしいが
最近は、施工不良でアクアフォームが潰れたり、あるいは「コンセントから青い汁が流れてくる」ような画像もポツポツと出始めています。
施工数から考えれば、今の段階の情報だけでは、評判を大きく下げる、まではいかないと思います。(同時に、楽観視できる情報もないとも言えますが)

むしろ、これから10年以内がアクアフォームの真の評価が出てくる頃合いかと思います。
長期間断熱効果を発揮する

構造だけ見て理解できる方であれば納得するはず。私はちっとも納得しませんが。

おそらく、アクアフォームの構造は「空気断層」による断熱だから、泡状の構造物だけあれば断熱できる、ということなんでしょうね。
ZEHや省エネ基準の突破もできる


これからの時代は、ゼロエネルギーでお馴染みのZEH基準を超えておくと、何かと便利です。

吸音性も高い
これは、アクアフォームが特化しているわけではないのですが、基本的に断熱材を仕込めば、空気の層ができるので吸音性が高まります。

防音効果を高めるのはすごく大変
防音室っていうのはすごく高いのですが、部屋の中に部屋を作るみたいなことをして、かつ遮音性の高い断熱材のようなものを仕込む必要があります。

そして、断熱というくらいなので、防音室に何の対策もしないと、「空気循環のない、めっちゃ暑い部屋」になるのですが、ここに防音として致命的な気密性を犠牲にする「エアコンのダクトや電気配線」などを仕込もうとすると、それはもう大変な作業になります。
アクアフォームの安全性
心配なのが、「可燃性」などの燃えやすさや、健康を害するような有害物質が入っていないのか、ということ。
シックハウスの原因となる素材が使用されていない
シックハウスの原因となる素材が0。揮発性有機化合物(VOC)を含む特定建材には指定されていません。
https://www.n-aqua.jp/products/aquaform/

ということで、トルエン、キシレン、酢酸エチレンに関してはバツがついていますが、他の物質はわかりません。
そもそも、シックハウス物質についての情報が少ない
VOC(volatile organic compounds)に指定されていないので、現在考えられているシックハウス対策の規制対象となるようなものは入っていないことは間違い無いでしょう。

ただ、公開されている情報が少ないので、正直、「お勧め」とは言い難いですね。
シックハウス症候群とは
建材や調度品などから発生する化学物質、カ ビ・ダニなどによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘され、「シックハウス症候群」と呼ばれています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei/dl/sick_house_02.pdf
室内空気の汚染源の一つとしては、家屋など建物の建設や家具製造の際に利用される接着剤や塗料などに含まれるホルムアルデヒド(Formaldehyde)等の有機溶剤、木材を昆虫やシロアリといった生物からの食害から守る防腐剤(Preservative)等から発生する揮発性有機化合物 (Volatile Organic Compounds, VOC) があるとされている。また、化学物質だけではなく、カビや微生物による空気汚染も原因となりうる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

化学物質が危ない感じがするけど、実は有機物なんかも影響しています。
シックハウス症候群の諸症状

アレルギー症状のようなものから、化学物質特有の神経症状などが特徴的です。
シックハウス症候群に関与するとされる化学物質
厚生労働省による濃度指針値のある物質には、以下のようなものが挙げられています。
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- トルエン
- キシレン
- エチルベンゼン
- スチレン
- パラジクロロベンゼン
- クロルピリホス
- テトラデカン
- フタル酸ジ-n-ブチル
- フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
- ダイアジノン
- フェノブカルブ
- 2-エチル-1-ヘキサノール
- テキサノール
- 2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート (TXIB)
シックハウス対策はシンプル
シックハウス症候群に関しては、ハウスメーカーなどが対策されていることが当然のものとして考えがちです。

むしろ普段の「換気」が大事だったりします。

それに、化学物質だけではなく、カビやダニも原因なので、こまめな掃除など、結局「グータラ」生活をするな、ということですね。
リフォーム時も施工時間が短い
リフォームサイトなんかを覗いてみても、アクアフォームのメリットとして「当日施工が可能」というのを多く見かけます。
施工が1日だと工賃も安い
施工時間が短ければ、施主の負担だけではなく、人件費の削減にもつながるので持ってこいですね。
また、繊維系などのボリュームのある断熱材よりも、現場に持っていく際の移送コストが安い(素材がコンパクトでトラックじゃなくてもバンで運べる)のも魅力の一つです。
アクアフォームのデメリットとなる部分
ここはまだ勉強中です。殴り書き程度のメモを置いておきます。
デメリット一覧
- 水に溶ける
- シロアリに喰われる
- 火事で炭化する
- 吹き付け後の取り外しが困難
- 結局、施工の技術に左右する

この辺りは、反発するアイシネン派や繊維素材派の意見を探すと腐る程出てきます。
アクアフォームが正しく施行されているかチェックする
アクアフォームも断熱材なので、素材自体の性能以上に「正しく施行されているか」が大事です。簡単にチェックポイントを書いておきます。
気密測定が一番

一番シンプルで有効なチェック方法が「気密測定」です。断熱材の話ではありますが、機密性が低く空気が外部と交通していると、「冬に窓を開けっぱなしにして寒いと言っている」のと同じこと。
ホームインスペクションも
個人的には、ホームインスペクションという、「家のチェックの専門員」みたいな外部の人に点検を依頼するのもありかな、とは思います。
後述しますが、プロが見れば一目瞭然のことでも、素人だと見抜けないことは多々あります。

というより、「引き渡し前にホームインスペクションを行う」と事前に伝えておくだけで、現場が引き締まるので効果的と言えば効果的。
事前のチェック事項もある


ヒノキヤグループなど、標準で使用しているところは大丈夫かと思いますが、段取り知らない工務店なんかに依頼した時には注意が必要です。
施行中・施行後のチェック

アクアフォームと比較したいライバル商品
断熱材のまとめはこちらの記事にありますが、このページでは「発泡ウレタン」系の情報を簡単にまとめておきます。

そもそもどんな種類があるのか
まず、発泡ウレタンと一言で言っても、実はそれなりに種類があります。
泡か板か
- 充填式
- FP版
すでに加工されていて板上のものもあります。サイズなどが決まっている際には、板状のものを敷き詰めた方が手っ取り早いので、基礎・床下、屋根なんかに使われています。
2種類以上混ぜるか、単剤か
充填式には、スプレー缶のようなもので取り扱いの簡単なものから、ふたつの発泡ウレタンを作り出す薬剤を混ぜて使用するものもあります。

薬剤を混ぜ合わせると化学反応を起こして熱を発生させるものもあるため、施工の際には専用の資格が必要ということになります。
硬いか、柔らかいか
さらに、現場発泡の断熱材でも、「硬質性」と「軟質性」に分かれており、今回紹介しているアクアフォームは「硬質性」に区分されます。なんだか評価の高い「アイシネン」は軟質性とのこと。
現場発泡系ウレタンのメーカー商品
有名どころの商品を比較していきます。ちょっと力尽きてきたので、とりあえず要点のみ。
フォームライトSL
- 2液混合(ポリオール・イソシアネート)
- 短期間施工が可能(2日間)
- ノンフロン
- 水発泡、内部ガスは空気
- 断熱材に伸縮性がある
アイシネン
- 低密度ウレタン
- 非吸水性が高い
- 軟質性(柔軟性)で追従性(地震で動いても一緒に動く=ついていく)が高い
- フロンガス未使用
- VOCの発生がない
簡単にいえば、「柔らかくて水を通さない。しかも安全」っていうのがアイシネンです。でも、高いです。
MOCOフォーム・Pufpure A warm



- 水発泡
- 放湿する
- GWPが最も小さい(pAw)
- 防蟻材効果あり(pufpure A-ATを施工)
アクアフォームの評価・評判
アクアフォームについて調べるついでに、クチコミ系の情報も見つかったので、簡単にまとめておきます。
アクアフォームの口コミ
口コミサイトではなく、実際に利用したブロガーさんの記事をまとめます。
- 結露なし
- 断熱効果は十分
- 遮音性もあり
- 乾燥しやすい
- 夏は不快
クチコミ掲示板は?
クチコミ掲示板は、住宅メーカーのものよりも真っ当な比較がされている意見も観れるので勉強になります。ただ、意見が偏るのと、すでに利用したい商品が決まっている場合は、不快に思う発言もあるかもしれません。
https://www.e-kodate.com/bbs/thread/28633/
アクアフォームの実績は
2010年には施工数が4,770棟だったのが、2013年には19,733棟、2018年には50,227棟になっています。

すごい数字の伸びだと思ったら、累積でしたね。
アクアフォームの値段は?
これは契約前に確認できると思います。大体の目安として、リフォーム時のものや、大体の値段など。
リフォームの場合
こういうのは、リフォームサイトが便利ですね。
- 床下断熱:40万円程度
- 天井:30万円程度
- 窓:20万円程度

これに壁までやると100万円超えそうですね。
新築の場合
新築の場合は、壁がない状態からの作業になるため、工程が単純になります。

家一軒で考えると、だいたい70万円程度と考えられます。(当然、施工面積、厚さによる)
ある施工会社の例では、アイシネンを使った場合の見積りが95万円、アクアフォームの場合60万円となっています。
https://mbp-japan.com/osaka/radiant/column/2731825/
結局、アクアフォームはおすすめできるの?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

断熱に関しては、さまざまな意見が出やすくて、しかもコストとの兼ね合いになるのでSNSなんかでも意見交換は活発にされています。
断熱は「トータルパフォーマンス」と「コストとの折り合い」の話になります。
極論で言えば「断熱はいい方がいい」でしかないのですが、ここに「自分たちの予算」という高いハードルがあるので、断熱について相談すると「とにかくいいものを使え」と主張する方ばかりが現れて、自分たちの施工する断熱だと不安になるようなことしか言われません。
でも、一部分だけ高品質の断熱材にしても、効果は得られにくいのが断熱です。全ての断熱材や窓・扉などをレベルアップさせると、やはりコストがかかります。やはり、プロの設計士と入念に打ち合わせて「コストの折り合い」がつけられるのがベター。

事情を知らない人に断熱の話を聞いても、「〇〇がいい」というだけで話が発展しないので、ちゃんと事情を相談できる方にじっくり相談すべきですよ!
アクアフォームのおすすめポイント
- 施工コストは安め(ただしグラスウールなどの繊維系の方が安い)
- 細かい・複雑な施工箇所にも対応しやすい
- (グラスウールに対して、専門業者が施工するので)施工技術によるムラは出にくい
- 結果、気密度は高くしやすい
アクアフォームのデメリット
- シロアリに食べられる
- 発火時の毒ガスの発生
- 燃えやすさ
- 他の発泡系ウレタンに劣る、という意見はある

個人的には、コスパを意識すれば割と良い断熱材だと評価していますが、断熱材にも上には上があって、目指し始めるとキリがないので、自分の予算にあって満足のいくものであれば、非難されるような製品ではないと思いますよ!
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