家づくりの最大の難関が「収納をどれくらい準備するべきか」ということです。
みなさん、間取りを考えるときに、「空いたスペースに収納」を入れがちですが、これは大きな間違いです。
収納を軸にして「必要な部屋の大きさ」を考えていく方がよっぽど大事、って知ってました?
収納の大きさに合わない大きなリビングをつくったって、使い勝手が悪いだけなんです。むしろ、収納さえしっかり確保していれば、それほど大きな部屋は必要なくなります。
シリーズで収納について熱く語っていきます。
収納の基本的な考え方
よく言われることですが、家づくりの最初の考え方は、家の間取りではなく、「どれくらいの収納力を求めるか」というところであります。
家事動線なんぞは、収納計画の二の次です。というよりも、家事動線は「収納」の周りをぐるぐるループしていくようなものですから、先に収納ありきの考え方なんです。
よく、台所や洗面台などの水回りを回転できるように家事動線をひく間取りをつくる方もいますが、大きな間違い。あれはただ、「水回りを近くに寄せて安く家を建てる」ための方法にすぎません。(悪いわけではありませんが、目的は違います)
いかに収納を確保し、片付けやすい家を作るか。
あるいは、しまったものをいかに出しやすくするか、これが大事なように思います。
おしゃれな家にするにせよ、便利な家にするにせよ、あるいは子育てをしやすい家にするせよ、とにかくまずは収納計画です。
大きな収納よりも、手に届く範囲に収納を
どうも収納を作ろうとすると、ウォークインクローゼットや、屋根裏ロフト、さらには蔵のある家なんぞ計画しがちです。
いえいえ、悪いわけじゃないんです、むしろ収納はたくさんあっても(あまり)腐らない。
でも、もし、同じ収納量であるなら、遠くの蔵より近くの棚。
三階部分の屋根裏収納なんぞは「もしかしたら必要になるかもしれないけど、今は使わないからとりあえず置いておくものが集まる場所」になるだけ。それ、本当は必要ないスペースなんですよ。
そもそも、普段使うものを収納するために階段を登ることなんてしますか?
使うもののサイズに合わせて、使う場所に収納をつくるのが基本です。
そして、収納場所が決まると、初めて家の間取りやコンセント、照明の位置が決まってくるのです。
各部屋に収納が必要な理由
理由は単純で、人生において「物を取りにいく時間が一番無駄」だからです。どれだけ節約しようと、お金を稼ごうと、無駄な時間が増えるだけ、人生の幸福度はさがります。
必要な収納スペースとは
一般的には床面積に対して10%程度の収納スペースが必要だと言われています。
ものが多いことがわかっていれば収納スペースを15%に増やしておく必要があります。
しかし、我々新潟県民の田舎者であればまだしも、都心なんかじゃ収納スペースをそれほど多く取ることはできません。
新潟市内でも、建てようとしている住宅計画によっては、それほど大きな収納を用意することはできないでしょう。
家族一人当たりの収納物を考える
まず、収納すべきものは家族人数によってある程度は計算可能です。もちろん、構成メンバーの趣味やライフスタイルによって大きく変動はしますが、「ベースとなる所要量」を把握しておくことで、「イレギュラーなもの」に関しては特別に収納スペースを設ける、というイメージで間取り・スペースを割り当てていきます。
生きているうちに、どうしても収納を超える量のモノが溢れてきますが、これに関してはむしろ「処分すべきもの」を検討すべきで、生きていく上で必要な収納スペースはそれほど大きくは変わりません。
実家に帰るとモノで溢れていてびっくりするけど、歳をとるほど必要なものが増えるのではなくて、捨てられなくなっていくだけなんですよね。
収納の全量
項目 | 夫婦2人 | 夫婦2人と子供2人 |
ハンドタオル | 14枚 | 21枚 |
フェイスタオル | 18枚 | 27枚 |
バスタオル | 9枚 | 12枚 |
衣類(ケース) | 13ケース | 20ケース |
衣類(ハンガー) | ラック3.4m | ラック4.9m |
靴 | 24足 | 34足 |
本・雑誌 | 1.4棚 | 3棚 |
CD・DVD | 200枚 | 250枚 |
おもちゃ | – | 7個(カラーボックスサイズ) |
収納の総量で言えば、最低限、これらが生活圏内に収納できれば合格点ですが、どうしても季節モノの家電や趣味のものなんかは別個にスペースを用意する必要があります。
これらの「生活用品」に関しては、その生活動作に合わせた位置に収納があるのがベスト。これが離れた場所に収納する構造になると、モノがどんどん溜まっていく家になっていきます。
結局、離れた場所においてもいいものっていうのは、家になくてもいいものだったりするからね。生活動作と関連した場所に収納を設けないと役割が果たせないんですよね。
狭小住宅でも幸せ
一度、近所の建売の家を見学しに行ったことがありましたが、我が家の駐車場程度の敷地に、核家族用のこじんまりとした、それでいてそれなりに雰囲気のいい家でした。
立地条件もよかったのですぐに売り切れましたが、小さくても、住めると思って買った持ち家は幸せなもんです。
ただ、収納キャパシティが最初から限られた場所に住むのには、それなりの覚悟が必要だということは言わずにはいられないですね。
だからこそ、収納計画は、家を建てる前から綿密に考えていく必要があります。
6畳の部屋には押入れサイズの半分のクローゼット
ちなみに、6畳間を10%であれば。いわゆる押入れまで行かずとも、その半分のクローゼットはつけておきたいところ。
ぶちくまは収納のない5.5畳のワンルームマンションに住んでいたことがありますが、ほぼ生活必要品がむき出しの状態、布団は畳もうが敷きっぱなしだろうが、いずれにせよ圧迫感があり、キッチン用品と清掃用具が一緒の棚に入っている、みたいなカオスでした。
どれだけ掃除してもゴミ屋敷みたい、というね。
地獄を知っているが故に、今、自分で新築してみて、(満足いくほど収納を設けたわけではありませんが)部屋が増えたことよりも、ルンバや食洗機が便利なことよりも、何より収納が充実していることが本当に嬉しい。
住む人が変われば、必要な収納スペースが変わる
家族は増えますし、減ります。
これを想像して家を建てることができる人が少ない。
新婚さんが家を建てるときは、子供ができるところまでは想像しますが、子供が大きくなって、いなくなったときのことはなかなか想像できていませんね。
また、2世帯住宅を建てる方も、ご両親の溢れかえる荷物を考えて多目に収納計画をしますが、家族が減ることは(まぁあまり想像すべきではないかもしれませんが)考えていない方が多いように思います。
ライフサイクルを考えた収納を用意する
子供部屋の収納でも書きましたが、ライフサイクルの変化の時に家に求める役割も変わっていきます。家族構成も変わっていくので「増える」ことは想定しますが、あまり「減ること」を意識しません。
「減る」という意味では、自身の生活機能の変化=老化についてもしっかりと考えないといけません。最初から介護ができる家にする必要はないものの、介護に対応できる間取りについては最初から考えておいた方が、介護サービスを利用することを踏まえてリフォームする際に最小コストで対応できます。
収納においては、「生活動線」の変化を考えます。2階建ての家なら、老後の2階部分の活用方法は難しい問題です。2階に上がる回数が減れば、メンテナンスできる回数も減り、空間が活用できないどころか、家の老化を早めることになりかねません。
収納量をあえて限定することで死蔵を減らす、という効果も
昔の人間であればあるほど、「もったいない」精神が強い。
歳を重ねた分、思い出もたくさんあるから、捨てられなくなるよね
だからと言って、不要なものをいつまでも持っていることは、衛生的にも、精神衛生的にもよろしくない。
実は、収納スペースが限られていると「置く場所が無いから」と無駄なものは買わなくなる、ということがあります。
逆に、置く場所があると、どんどん奥にものをしまいこんで行って、結局収納スペースが死んでいく、いわゆる「死蔵」状態になります。
これでは、いくら収納スペースを用意したところで意味がないですね。
つまり、自分の生活範囲、あるいは想像できる範囲(どこに何が置いてあるかわかる範囲)さえあれば、収納スペースは十分だという考え方もできます。
未来はそれほど収納スペースが必要なくなるかも
捨てられないものの第一位が「思い出」です。
かっこいいことを言うつもりはなかったのですが
とかく「思い出の品」は捨てられない傾向にある。というか、これが捨てられる人は、多分収納にはあまり困らないと思う。
逆に、小学校の時に書いた卒業文集も捨てられないで持っている人は、ちょっと注意した方がいい。
この手のタイプの人は、自分の子供が生まれた時にも、全ての作品を捨てられずに、最終的には玄関先に飾っちゃうことになります。
いわゆる、ものが溢れかえって、「(見せたいわけじゃないけど)見せてしまう収納」になっちゃうやつね。
ただ、最近では、簡単に写真に残せて、それもデータ化できちゃうので、思い出はデータに残して物体は捨ててしまうことにそれほど躊躇しなくなってきた時代とも言えます。
文集もスキャンしてPDFにしてレンタルサーバーにでも放り込んでおけばいいですし。
CDもDVDも、本も写真もアルバムもビデオも、これまで嵩張るとされてきたものが、どんどん電子化できるようになってきました。
これからの時代は、あえて収納を減らす勇気も必要と言えるかもしれません。
蛇足でしたが、以降、ページを跨いで各論に移りたいと思います。
各部屋の収納まとめ
収納に関する記事をまとめておきますので、知りたい情報に合わせてリンク先のページをチェックしてください!
子供部屋について
子供部屋にどれくらいの収納を用意するか、というのは間取りを考える上で悩ましいところではあります。
子供が子供部屋にいる時間て、実は10年くらいなもの。それなら、用意できるスペースに合わせて収納に関しても成長に合わせてカスタマイズできる仕組みがいいと思います。
そんな感じで、子供部屋の収納に関してまとめた記事もありますので、参考にしてみてください。
収納部屋よりも各部屋の収納
家づくりの時に、中途半端なスペースは収納部屋として割り当てられたりするのですが、これが必要かどうかについて。
簡単にいえば、収納部屋は動線としては不活化しやすいので、この部屋に置かれるものは「根本的に必要なのかどうか」から検討するようなものばかりになります。実際に使い勝手が良くなるのは、各部屋の細々とした収納スペース。
最近は、収納スペースを段ボール箱単位で月額で借りたりできるサービスなんかもあります。
メルカリなどのフリマアプリがあることで「要らなくなったらとりあえず売る、必要な時にまた買う」という選択もできるようになりました。
物置スペースを活用して収入を得る
逆にいえば、ある程度収納に余裕があるように設計しておくと、将来的には「物置スペースをレンタルする」という活用方法も考えられるということです。
最適な「棚」のサイズとは
家づくりでもリフォームでも「可動棚」というのは便利です。便利なんですが、多用する場合には「サイズ設定」については頭を悩ませるもの。
可動なんだから、適当に作っておけばいいんじゃないの?
可動棚は、棚の高さは変更できますが、実際、高さを変更するシーンは少なく、最初から「一定規格の収納ケース」などを利用することを想定してサイズ感を決めておくことをお勧めします。
この辺りの可動棚のサイズについてまとめた記事もありますので、参考にしてみてください。
コメント
「12 2人 住宅」に関する最新情報です。
京都市北区で住宅火災が発生し、男女2人が死亡しました。現在、女性の住人と連絡が取れていない状況です。火災は12日の未明に起き、木造の2階建て住宅で発生しました。119番通報を受けて消防が駆けつけ、約2時間半かけて鎮火しました。火災の原因は調査中です。男女2人のうち、1人は50代くらいの男性で、1人は女性です。男性は1階の部分で着衣のまま倒れているのが見つかり、病院に搬送された後に死亡が確認されました。女性の身元確認のため、警察が連絡を取ろうとしています。
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[…] 基礎編では、収納スペースの基本的な考え方を伝授しました。 子供部屋なんかは学習机や本棚など、可動性のある収納を部屋に入れてもいいかもしれません。 子供はいずれいなくなりますし、あるいは途中で人数が増えたりして、 最初に想定した部屋割りができない可能性があります。 それなら、フレキシブルに、適宜棚を買い足していくイメージでいいと思います。 子供が独り立ちした時に、一緒に持っていってもらってもいいですしね。 […]