家づくりで悩む収納について、棚のサイズの考え方や、ウォークインクローゼットの注意点について考えていきます。
子供部屋の収納について考えるとき、大事なことはひとつだけです。
「こどもは成長する」
つまり、ライフスタイル(ライフサイクル)は数年でガンガン変わっていきます。
子供部屋については、学習机や本棚、カラーボックスを使って、固定された収納スペースではなく、子供の成長に合わせてフレキシブルに対応できるのがいいのであります。
子供部屋にはクローゼットなんかなくてもいい
子供部屋なんかは学習机や本棚など、可動性のある収納を部屋に入れてもいいかもしれません。
家族の人数は10年もすると大きく変わる
子供はいずれ独り立ちしていなくなります。あるいは途中で家族の人数が増えたりして、最初に想定した部屋割りができない可能性があります。

それなら、フレキシブルに、棚を買い足していくイメージでいいと思います。

子供が独り立ちした時に、一緒に持っていってもらってもいいですしね。

子育て世代には一時的にカラーボックスで収納量アップ
あるいは、これから子育てが始まる方は、簡易のカラーボックスなんかが役に立ちます。
赤ちゃんができると、オムツやらおしりふきやら、何かとかさばるものが増えてきますし、おもちゃや子供の道具を片付けてもらうのも教えないといけません。

その時に、カラーボックスだと、中にすっぽり入るぴったりの収納ボックスがあるのでとても便利です!
高価なものではないから傷つけられてもいいし、お片づけの時に収納ボックスを取り出して、子供と一緒にお片づけして、収納ボックスはそのままカラーボックスにポイできるし。
人が来た時には蓋つきの収納ボックスにしておけば見栄えは保てますし。
ちなみに、収納は「カラーボックスサイズ」のように、ひとつ基準となるものを決めておくと、あらゆるシーンで使い回しできるのでとても便利ですよ。

子供が自分で片付ける部屋に
子供が片付けするには、片付けする意味を考えてもらいながら、「どこに片付けるのか」がわかりやすい部屋を作っていく必要があります。

おもちゃにはおもちゃの、絵本には絵本の、洋服には洋服の、帰る場所があることがわかりやすいといいですね。
カテゴリをしっかり決める
カテゴリ分けを親が手伝ってあげましょう。
つまり、収納として工夫すべきところは、「ざっくりと入れられる、けれどしっかり収納場所を決める、ものを入れる定量を設定する」ことが大切です。
完璧は目指さない、「お片付け」の練習
ざっくりとは、ある程度自分で考えて「おもちゃはここ」と子供が理解できる程度でいい、ということ。

厳密な線引きは子供が自分で決められる方がいいですよ。
お片付けの場所は「名前」をつける
また、収納場所については「おもちゃ箱」「絵本入れ」など、名前をつけておいてあげること。最初は、「決まり」などの概念は、子供にとっては曖昧なものです。ですが、生活しているうちに、ルールがあることは、子供はしっかりと学んでいけます。
おもちゃの「絶対量」は決めておく
そして、定量の設定。
自分が持っていていいおもちゃの範囲を設定することで、増やす時には減らさないといけない、ということを子供にも理解してもらうためです。

「これ買うと、代わりにお人形さんが外に出ないといけないよ、それでもいいの?」という、苦渋の選択を強いる訳ですね、かわいそう。
収納は「次に使うための最善の一手」を考えること
子供部屋の場合は、「大きな収納をぼーんと置く」よりも、「目的にあったサイズの収納を少しずつ置く」方が使いやすいです。

例えば、ランドセルひとつとっても、机の上に投げ出す習慣がつくよりも、「ランドセルを置く場所」があってそこに片付ける習慣が生まれた方が子供は得をします。
ものは「次に使うときに便利になる」ようにしまうことが大事ですので、さっと置いて、さっと取り出せるのが基本的な収納の考え方になります。

何でもバラバラに置いてしまうと、多く収納することができない上に、「取り出したいものが下にある」ときに、結局、一度全部崩して、改めて収納し直す必要が出てきます。
そう、人生で一番無駄な時間が発生するわけです!
収納のバランスを考えることも知育
収納は社会人としての基本能力だと私は思っています。

使いやすいことと「ディスプレイする」能力も、ときに重要となってきます。
何を片付けるべきで、どれを出しておくべきか。これは小学生以降に磨かれるべき能力ではありますが、何でもかんでもしまいこんでしまうのは勿体無いですよね。
長く使えるものを
ついつい、キャラクターの入った可愛い家具を選んでしまいがちですが、可愛くするのはデコレーションで対応するとして、素材は長く使えるものを選ぶのがいいと思います。

だいたい、子供は自分でシール貼ったりして汚してしまいますけどね。それもひとつの成長の証です。
その頃には、そうとう味わい深い、素敵な本棚になっているはず。
そういう想像をするだけでも楽しいですよね。
こどもの成長に合わせた収納の変化
ここからは、以下の時期に合わせた収納の工夫について、情報を共有していきたいと思います。
初めてのおもちゃ期

私のこどもは、今2歳児です。おもちゃが片付けられないんですけど、どうしたらいいですか?
1歳くらいから本格的におもちゃで遊び始め、2歳になったら保育園で「お片付け」というものがあることは理解します。
ただ、この時期には流石に1から10までのお片付けは無理。ですが、親が全てやってしまうと、「そういうものなんだ」と子供は理解して、やらないように努力し始めます。

片付けないと怒るようにしたけど、泣き喚いたりするだけで、全くできない。おもちゃを隠したりしてみるけど、あんまり効果なし。。。

お片付けの回避・解決方法が「泣く」になっているんですね。その場合は、まずはモチベーションの向上から。お片付けをすると「気分が良くなる」方向に持っていきます。
こどもが「片付けをしたくなる」工夫をすることで、お片付けを楽しませ、かつ褒めることでこどもの動機付けができるような「お片付け空間」を作ってあげるのが大事だと思います。
クルマなら立体駐車場、人形なら「おもちゃのお家」など、遊びながらお片付けする
ピープルのピタゴラスの記事に少し書きましたが、遊びながら「収納できる構造物」を作ることで、遊びの延長として収納することを覚えるように誘導します。

ピタゴラスについては強度に問題がありますが、おままごとのように「ブーブーはお家に帰りまーす、やっぱりおうちは落ち着くなぁ」とかやってるうちに、なんとなく「元いた場所に戻す」ことがいいことだと認知してもらいます(うまくはいきませんが)
お片付け競争でスピードアップ
保育園レベルだと、さすがで、「お片付けのマーチ」など、音楽に合わせて楽しくお片付けするようです。

全く知らないお片付けマーチをせがまれるので、いつも適当に歌って怒られてます。。。
家だと喧嘩する相手がいないので、あえて親が「〇〇ちゃんより、先に片付けちゃおっかなー」と挑発することで、応じてくれることもあります。(気分次第ですが)
できた後は、とにかく褒める
やはり、「褒められる」が動機付けになった方が、子供も嬉しいし、親のストレスも軽減するようです。
「イヤイヤ期」になると、一時的に「わざと親のこと挑発してるんじゃないか」と思うくらいに反抗してきますが、「イヤのイヤはイイ」の法則で、うまく相手の気持ちをのせてあげるのが大事です。

「敵の敵は味方」みたいだね。
通学・通園を始めたら
想定しているのは、4歳くらいから8歳くらいまでの「お片付けアシスト」が必要な時期。
通園グッズは「一手間すらかけない」収納に
3歳くらいから、通園の道具は自分で準備できる能力を身につけます。ですが、気持ちのムラがあるのと、「面倒臭い」と「他のことで遊びたい」が圧倒的に優位なのが、保育園・幼稚園のこどもの感情です。
自発的に片付けや準備をさせる収納を目指す場合は、以下の点に注意します。

「片付けてある状態」を理解するためには、部屋が片付いてないといけなんだよね。うちは常に散らかってるから、片付ける「必要性」も理解できなければ、片付けの「ゴール」もわからないみたい。
ランドセル収納はカラーボックスでOK
個人的には、ランドセル専用の収納も、かっちり収まっていい。いいのですが、将来性を考えると「ランドセルのサイズはカラーボックスサイズに近い」ことを利用して、汎用性の高いボックスタイプの収納がお勧め。
専用ラックはかっこいい
専用ラックは、やはりランドセルの納まりの良さと、学校関連グッズも合わせて整理できるのがメリット。
ボックスタイプは使い回しがいい
床置きのボックスタイプは、専用の収納スペースは作らずに、移動性にも長けているのがいいところ。サイズは、ランドセルに合わせられているものが多いですが、教科書やリコーダーなどもまとめておいておけるので、リビングなどで勉強する際の、「ちょっと置く場所」として設定するのも良さそう。
勉強ができるようになる収納とは
勉強ができるようになる、でおなじみなのが、「リビング学習」ですね。

親とのコミュニケーションが取れるので、勉強が習慣づく、とかいう、あれですね。
帰宅から学習までの動線を考える
リビングで学習するから賢くなるわけではなく、親に見てもらえて嬉しいから勉強がしたくなるというのがリビング学習です。逆に言えば、リビングで勉強することが目的になっても仕方がないのです。

勉強が全てではありませんが、決まった時間に「宿題をする」などができるような環境を整えるのが大事です。
というわけで、基本的には家づくりの動線作りと一緒で、帰宅してから勉強に向かうまでの障壁をなるべく減らすことが重要だと考えています。
勉強が目的ではなく、こどもの「目標達成までのプロセス構築力」を育む
ついでに、少しだけ触れておきますが、「意味のある勉強」を習慣づけるためには、基本的には「プロセスを大事にする」ように指導します。

「テストの点数を褒めると、暗記に偏った(小手先のテクニックで点数を上げるように)勉強ばかりするようになる」みたいなもんです。あくまでも、「勉強できた」ことが大事。
先に、リビング学習を成功させる動線のひとつに「親と会話しながら、スケジュールを立てて短期的な目標をたてる」というのを上げました。これは、課題達成のプロセスを構築する練習として、「1日の過ごし方」を自分でプランを立ててもらい、実践できるようにこどもに工夫してもらうことが大切だと考えるからです。

夕ご飯の時に、予定通りに進んでいるか探りを入れて、必要があればテコ入れをします。できてないから叱るのではなく、「どうしてできなかったのか」を考えさせるのが大事です。
とは言え、まだまだ補助輪が必要な年頃ですから、何度も転ばせて、失敗させて「課題達成できなくて悔しい」と思ってもらうのが大事です。自律した勉強をしてもらうためには、親が適宜「どうするべきか」相談に乗れるのが、リビング学習のメリットだと考えます。

自室学習だと、「テスト結果」や「勉強していない姿」でしか評価しないから、こどもの自主性を刺激するような声かけに失敗しやすいんですよね。
リビング学習の収納具体策
これ、収納の話でした。取り急ぎ、まとめておきます。
リビング学習は、ダイニングテーブルが兼用する可能性はありますが、勉強する際に片付いていないと、やる気が一気に削がれます。自主性を尊重するべきではありますが、勉強したい気持ちは大事に、必要があれば片付けておく方が無難です。
自分の部屋を持ったら
最終ステップ、自分の部屋での収納です。

当然ですが、これは、もう本人に任せるに限ります。
独り立ちを意識させた収納を
もう、自分の部屋を持ったこどもは、ひとりの人間です。少なくとも、自分のプライベート空間を欲しているわけで、その理由が当然あるはずです。

仮に悪いことをしていなくても、プライベート空間は尊重して然るべきです。親にできることといえば、最大限、把握しやすいように余計なものをおけないような構造にするくらい。
最初に戻りますが、こどもべやにはクローゼットなどの親の確認しづらい「闇の空間」を作りすぎない方が、隠れてゴニョゴニョしづらくなります。あくまでも自主性は尊重すべきですが、どうしても心配な場合は、なるべくオープンな収納だけ買い与えて、秘密を保持できるスペースに限界を設定することも可能です。
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